久しぶりの詩

kochou2006-11-07



《 命 》
なぜ人は、子供を生み落してゆくのだろう
喜びと悲しみ、明と暗、光と陰、愛と憎しみ
まっぷたつに背を向けたものが混在するこの世界の狭間に


自分が生きた証(あかし)を、誰かに覚えていてほしいからだろうか・・
何百年か先までは、きっと?誰かが記憶の片隅に
残してくれるかもしれない
生きる事は苦しくもあるけれど、素晴らしいという事も
自分の代わりに感じ続けてほしいからだろうか・・
希望を託すのであろうか・・


この大地の下に、この空の上に、たくさんの、無数の魂が存在する
足の下に・・頭上高く上に・・
なんととてつもない時間と歴史が積み重なっているのだろうか


私は何も残すことができない
淋しさと、妙にさっぱりとした気持ちが入り混じる
私はこれでいいのだと・・・
苦しみや悲しみや喜びや涙や、誰かを愛した想いが
ほんの少しの間だけ漂って、風と共に大空に吹き上がって
跡形もなく消えてゆけばいいのだと・・・
こんな命の行く末があってもいいのだと・・・


ただあの時、たった一度だけ、光の下に立つことができた
暖かなものにそっと、ずっと包まれた、その優しい思い出だけは
置いてゆこう、そして持っていこう
私の生まれた意味を忘れない為に・・・
いつかまた生まれいずる時の為に・・・By HITOMI